今、先生も選ばれる時代になってきました。いくつかの教室で体験レッスンを受けて、自分の気に入った教室を選ぶのです。私たちが子供の頃はあまりそのような話は聞いた記憶がありません。この教室でもこのようなことが何度かあり、最初は驚きましたが、閉鎖的なピアノの世界にあっては、ある意味で開かれてきたのかなと、今では考えるようになりました。
ピアノの場合、基本的に個人レッスンです。ある有名な先生でも、決していい先生だとは限りません。個人レッスンである以上、音楽的な内容以前に先生と生徒の相性も非常に重要です。ある有名な先生のレッスンに1レッスン2,3万円出して、あっという間にレッスンが終わってしまう、よく聴いていただけないなど、どこか信頼できないレッスンを受けるのは非常に残念な話です。また才能のある生徒だけを可愛がって、それ以外の生徒はどうでもいいようにあしらう先生もいると聞きます。
また、極端な話をすれば、ピアノを独学で始めた人が、突然音大のしかも優秀な学生ばかりをレッスンしている高名な先生のところに行ったとしても、とてもレッスンにはならないのです。内容が高度過ぎて、とてもついていけないでしょう。
有名無名などの表面的な情報にこだわらなければ、必ず自分に合う先生はいますし、親身になって丁寧に教えていただけます。有名な先生につくことは、多少のステータスにはなるかもしれませんが、音楽的には悲しい道を歩むことになる可能性があることを、忘れないでほしいと思います。
良い先生に付くためのいくつかの方法として、その先生の演奏を聴いたり、門下発表会を聴いたり、レッスンを見学したり、体験レッスンを申込んでみたりして、共感した先生に習うのがベストです。肩書きにとらわれず、感性を大切にしてほしいと思います。
良い先生の当たるのも才能のうちだと言われています。
先生にもいくつかのタイプがいます。音大受験やピアニストを目指すある程度大きくなった方を専門・得意とする先生、導入から基礎を得意とする先生、オールマイティな先生・・・。
ただ、特にお子さんの導入・基礎については、今後ピアノの道に進む進まないに関わらず、無理のないしっかりとした奏法を学ぶべきです。「どうせうちの子はピアニストになるわけじゃないから近所の教室や先生へ」、などと簡単に思わないで下さい。ピアニストにならなくても、子どものうちから本物に触れる、きちんとした奏法を学ぶ、しっかりと練習をして上達する、そのための忍耐を養う、達成した喜びを感じる…ことは、ピアノ以外のあらゆる分野にも生かせることです。レッスンで注意したことが毎週直ってない、いつもレッスンの前日だけ10分程度ピアノを触ってこれが練習だと勘違いしている、これでは月謝のほとんどを無駄にしているのと同じです。夏休みの宿題を8月末にあわてだすのに似ています。ピアノがうまい人は時間の使い方も上手な方が多いです。決してピアノが勉強の妨げになることはあまりありませんし、相乗効果にさえなるものです。
また、中学生・高校生になって急に音大進学を考え、さて希望の音大の先生に行ってみたら、「基礎からやり直しましょう・・・」とはよく聞く話です。将来どの道に進むにしても、せっかく習うのでしたら技術の習得にはなるべく無駄のないようにしたいものです。ピアノの先生の中には、もともとピアノを専門に勉強されていない方もいらっしゃいますので、その辺はお子さんのためにもしっかり情報を集めるべきだと思います。